Our Precious Princess

                       
  1 背 徳

          ―彼女は弟のモノ…



          わかってる。

          だけど―…

          どうしても欲しい。


          大事な弟と大好きな彼女。
          どちらを選べばいい?


          ―どちらも、選べばいいんだ…


           僕が彼女に出逢ったのは、もう一年も前のこと。

          ただ、交差点ですれ違っただけだった。

          彼女は僕の存在なんて知らなかったんだ。
          でも僕ははじめて誰かを恋しいと想った。


          だけどまさか、あんな処で君と再会するなんて思いもしなかった。


          リビングで、嬉しそうに裕太に肩を抱かれて。

           『―俺の彼女の、

          あんなに知りたいと思っていた君の名前を、弟の口から聞くことになるなんて―…。



           ちゃん、君が欲しい。
          裕太のものだと、自分に言い聞かせる度につのる、君への想い。

           「裕太、わたしもラズベリーパイ、うまく作れるようにならね!」
           「まぁ期待しててやるよ」


           ―君のその声で、他の男の名前を呼ばないで。
          僕の腕の中で僕の名前だけ呼んで僕のためだけに鳴いて…

          君はもうその肌を裕太に触れさせた?
          君を汚していいのは僕だけ―…

          狂おしいほど、君が愛しい。
          どうすれば君に伝わる?

 
          どうすれば、僕だけのものになってくれる?

          もしも君に少しでも触れてしまえば、僕は君のすべてを壊してしまう―



           「―もしもし」
           『あ、兄貴?、来てない?』

           「―ちゃん?…来てないけど…」
           『まだ来てねーか…実は今日、家帰るつもりでも誘ったんだけど、
            いきなり観月さんが合宿組んでさ―…』

           「へぇ…大変だね」
           『だからさ、来ると思うからごめんって伝えといてくれよ。あいつ携帯持ってないんだ』

           「―…うん、わかった。じゃあ…」



           ねぇ裕太。
          君は合宿をさぼってでも、家に来るべきだったね。



          君は確かに僕の大事な弟だけど、
          ちゃんを連れてきてしまった。

          もう自分を押さえる術を忘れてしまった僕のもとへ―…




           「―あ、こんにちは、周助さん」
           「ちゃん、いらっしゃい。裕太でしょ?二階の奥の部屋にどうぞ。」
           「はい。お邪魔します」



           ―もう誰も止められない。
          本能が僕を掻き立てる。


           彼女が欲しいなら、奪えばいいと…。



           「…ごめんね、裕太」




          僕は行くよ。
          君を待つ人のいる、君の部屋に。



           「―裕…っあ、周助さん、裕太は…?」

           「―ごめんね?忘れてたよ、伝言。裕太ね、急に合宿入っちゃって、帰れなくなったんだ」
           「―そうだったんですか…あっ、ごめんなさい、私お邪魔しちゃって…すぐ帰りますね!」

          慌てて立ち上がったちゃんの腕を、力任せに引き寄せる。

           「―!」

          あぁ、やっぱり僕は、君が欲しい…


           「周…っ―きゃっ」
          ベットに突き飛ばして、すぐさま彼女の躯を組み敷いた。

            「ぃ…ぃゃっ!周助さん?!」
           「―こう見えても、力は裕太より強いよ…?」
           ちゃんの顔がどんどん青ざめていく。

           「―ずっと好きだったよ」
           「…え…っ…」

           「裕太が君を連れてくる前からずっと!…なのにどうして…君は裕太のものなの…?」
           「周助さんお願い!放して…ッ」

          僕から逃れようと暴れる脚をつかむ。

           「―ねぇ…裕太にはもう触れさせちゃったの?ココ…」

          ツツ…とちゃんのスカートをまくり上げ、下着越しに秘部に触れた。

           「いやぁっ…」
          ビクン、と跳ね上がる躯。

           「―もしかして…まだ…?」
          瞳に涙を浮かべて僕を見上げるちゃん。

          へぇ…やっぱ裕太、奥手だったんだ…

           「…いいね、すごくキちゃうよ?その顔―…」

          初めてなら…優しくしてあげたいけど、僕にももう余裕がないんだ…

           「やめて…周助さ…っ」
          震えが止まらない脚から、ゆっくり下着を剥ぎ取る。

           「嬉しいなぁ…僕が君の初めての男になれるなんて…」
           「やぁーっ…裕太ぁっ裕太ーッ」


          呼ばないでよ、そんな名前…

           「裕ぅ…んっ―」


          そんな唇なら、塞いであげる。



          君の唇は、僕のために鳴くだけでいいんだから…


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